ばんは。今回は、ひのとりの登場で引退が近い近鉄12200系についてお送りします。


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 ↑鳥羽カーブを行く鳥羽行きの12200系と22000系

近鉄12200系は、1969年から76年の間に12000系の改良形式として登場しました。登場時の一部編成には東海道新幹線に対抗する形でスナックコーナーを設けていました。近鉄では最大勢力を誇っており、166両作られました。スナックコーナーを設けていた関係で、この形式はスナックカ―として今も親しまれています。今は、4両と2両のみですが、かつては6両固定も存在していました。

【大阪線列車事故の被害に?】
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  ↑大阪線の事故は、同じ名古屋行きの名阪乙特急が当該になった。

12200系が製造され、日本も大阪万博で盛り上がる中、1971年10月25日に近鉄でも史上最悪の鉄道事故が起きました。大阪線の東青山~榊原温泉口間にあった旧総谷トンネル内で、上本町発名古屋行き特急と賢島発京都、難波行きの特急が正面衝突しました。当時、大阪線の青山峠越え区間はまだ単線で、東青山、西青山などで行き違いをしていました。大破した名古屋行き特急のATSが故障し、誤停車していました。運転士は所定の操作でATS解除を行いました。東青山の助役が手歯止めを外してしまい、特急の運転士は供給コックのカット解除をしっかりとせずに運転席に戻り、ブレーキを解除してしまいました。その結果、青山峠越えなので33‰の急勾配を下るように名古屋行き特急は暴走し始め、総谷トンネル付近の垣内信号所に接近していた賢島発の特急と衝突してしまいました。特急の運転士、車掌、東青山駅の助役を含めて25名が死亡、288人が負傷する大事故となりました。
この大破し、廃車となった名古屋行き特急にはまだ製造されてから間もない12200系の2番目の編成と12000系のトップナンバーが連結されていました。また、賢島行き特急には10100系ビスタカーと共に当時最新鋭であった12200系の26番目の編成も連結されていました。12202編成は、12001編成と共に廃車、12226編成は今は既に廃車となっていますが、事故後も修理され、最近まで現役で走っていました。

【団体列車に改造】
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 ↑クラブツーリズム専用のかぎろひに改造された12200系2両編成
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 ↑修学旅行用の団体列車あおぞら2に改造された12200系

12200系は、近鉄特急で最大勢力を誇っていましたが、老朽化が進み、22600系に徐々に置き換わっていきました。一部は修学旅行用専用列車のあおぞら2やクラブツーリズム専用のかぎろひに改造され、現在も活躍中です。あおぞら2に初期改造された15200系グループは一部が後期に製造され、改造された12200系に置き換わりました。明星検車区に所属する1編成は、初代あおぞら号の塗装に復元されています。主に名古屋地区での活躍なので、大阪では見れないのが難点ですね。どちらも現在は、団体旅行需要も減っているので、車庫の肥やし状態になっています・・・。復活することを願いたいですね。

【かつての近鉄特急の名残ももうこの形式だけ】
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 ↑吉野連絡のサボを掲げる12200系
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 ↑近鉄汎用特急塗装ももうこの形式だけ

近鉄特急では、22000系ACEを皮切りに徐々に新塗装化され、12200系を除く全形式が新塗装化されました。なので、かつての近鉄特急のオレンジと紺の塗装を残すのはもう12200系だけとなりました。12200系が完全に引退したら、もうこの塗装を近鉄の営業線内で見ることが出来なくなることでしょう。京都発橿原神宮前行きの特急には、「吉野連絡」のサボが付けられます。このサボを付けるのも12200系だけとなりました。他の形式は、方向幕に印字されているので、この形式が引退すると「吉野連絡」のサボも消えることになります。

【廃車も進みいよいよ終焉へ】

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 ↑引退に際してなのか、12251編成には登場時の塗装に戻された。

近鉄では、2020年2月に近鉄特急の全面禁煙化を実施し、近鉄特急から喫煙車が無くなりました。他の特急は、喫煙ルームが設けられていますが、12200系だけは設置されませんでした。喫煙ルームの設置されていない12200系の年内引退も禁煙化のプレスにて発表されました。引退に際してなのかは分かりませんが、12200系の最終編成?の12251編成には、登場当時の塗装に戻されました。余りわかない感じですが、オレンジが若干薄く、紺色も薄いです。
3月に新型名阪特急のひのとりがデビューし、アーバンライナーが玉突きで名阪乙特急に回されることになりました。その玉突きによって12200系が置き換えられることになります。徐々に12200系も廃車が進み、最近ではゾロ番で有名な12345号車が廃車となりました。ひのとりデビュー後もまだ活躍を続けていますが、これも年内か来年春には引退することでしょう。

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大阪万博、阪神淡路大震災、難波線地下、大阪線列車事故など数々の歴史と共に歩んできた12200系。東海道新幹線に対抗するために作られたスナックコーナー、2両の名阪特急、名阪甲特急での活躍など名阪間でも馴染みのある汎用特急でした。そんなスナックカ―もより高いレベルとなった80000系ひのとりとアーバンライナーに名阪特急の座を譲り、まもなく名阪特急から退きます。また伊勢方面、京都方面などの観光、通勤特急からも幕を閉じます。最後の最後まで無事に走りづけてほしいですね。12200系の記録はお早い目に。

↓↓12200系ではありませんが、これからの名阪特急の顔となり、12200系の後釜となる80000系ひのとりの乗車レポをお送りしています。是非ご覧ください。またアーバンライナーとの比較もあります。↓↓